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地域がん診療連携拠点病院

放射線治療について

前立腺がんに対する強度変調放射線治療(IMRT)について

1.はじめに

 

前立腺がんは高齢化やPSA検診の普及もあり、近年増加傾向となっている疾患です。前立腺がんの根治療法には手術と放射線治療がありますが、放射線治療は体への負担が少なく、高齢者や合併症のある方でも安心して治療を受けることができるのが特徴です。強度変調放射線治療(IMRT)は、コンピュ−タ−及び放射線治療装置の発達によって可能となった技術であり、照射する範囲の放射線の強度を変化(変調)させて照射を行なう方法です。IMRTにより、治療部位の形状に合わせた放射線治療が可能になります。通常の放射線治療では、前立腺へしっかり放射線を照射しようとすると、前立腺のすぐ後ろにある直腸へも必然的に放射線が当たってしまいます。そのため、放射線治療の副作用である直腸出血が問題となっていました。しかし、IMRTではコンピュ−タ−による複雑な計算により、直腸へあたる線量を最小限におさえることができるため、直腸出血を減らすことが可能となります。さらに、病変部へは十分な線量を投与できるため、治療成績を向上させることができます。当院でのIMRTは、VMATと呼ばれる回転型のIMRTを使用しており、治療1回あたりの照射時間は1分半から2分程度という短時間の治療が可能となっています。また、放射線治療をする直前に、毎回CTを撮影し位置合わせを行います。このことにより、体内の微妙なズレを補正できるため、より正確な放射線治療が可能となっています。

通常の放射線治療での線量分布
       IMRTの線量分布図


 ※線量分布図とは、放射線の強さが同じ部分を線で結んだものです。
 ※IMRTでは線量分布が直腸部分で凹型となっており、直腸への線量が
   少なくなくなっています。(

2.治療までの流れ

@ 診察
   治療の概要、治療の日程をお話します。
   診察は、これからの治療方針を決定する重要な場です。そのため、可能
   な限りご家族同伴でお願い致します。

A 固定具作成
  
毎回の治療時に同じ体勢がとれるよう、固定具を作成します。
   治療精度の向上につながります。

B 治療計画CT撮影
  
治療を行う部位のCTを撮影します。場合によっては、前立腺の輪郭を
   正確に描出するためMRI(核磁気共鳴画像)の撮像をします。

C 放射線治療計画
   CT画像を放射線治療計画用のコンピュ−タ−へ転送し放射線をあてる
   範囲を決めます。その後、最適化の複雑な計算を行います。

D 治療計画の検証
  
計画した線量が実際に照射されるかどうか、実際の測定により確かめま
   す。

IMRTでは、CT撮像から実際に治療ができるようになるまで、以上のような工程があり、治療開始まで2週間程度の時間がかかります。

3.治療について

@ 1回の治療時間は20分程度です。
A 週5回(月から金曜日まで)、合計37回から39回の治療(合計線量74Gy
   から78Gy)になります。約8週間の治療期間になります。治療回数につ
   いては、病気の進行度や合併症により変更することがあります。(Gy:放
   射線の量の単位)
B 治療前に1時間程度の蓄尿をおこなっていただき、尿がたまった状態で
   治療をします。膀胱内の尿の量を一定にすることで、より正確な治療をす
   るためです。治療をする直前に、毎回CTを撮影することで、精密に位置
   合わせを行います。この時、直腸にガスがたまっていたりすると、ガスを
   抜いていただいてから再度位置合わせを行います。ガスを抜く方法とし
   て は、ウォッシュレットが効果的です。ガスがたまったままですと、前立
   腺に十分な放射線が投与できず 、治療が不十分になったり、直腸へ当
   たる放射線の量が多くなり、副作用が増えたりしますのでご協力くださ
   い 。また、便通の状態をよくするため、下剤等を内服していただくことが
   あります。

4.副作用について

IMRTでは通常の放射線治療と比較して、副作用の頻度は少なくなりますが、副作用がでないわけではありません。放射線治療中の副作用としては、頻尿、排尿時痛、排尿障害(尿の勢いがない、排尿時間の増加等)、排便時痛、軟便、頻便などがありますが、治療終了後数週間すると改善してきます。放射線治療後3か月以上経過してからの副作用としては、血便、血尿、排尿障害(尿道狭窄、尿閉)等があります。詳しくは、診察時にお話しします。

 


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