福島県会津若松市にある地域密着型総合病院

財団法人 竹田綜合病院
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理事長あいさつ

 

 昨年の平成30年は「戊辰150年」であり、私どもの竹田健康財団では「創立90周年」という節目の年でした。おかげ様で90周年の記念事業も3月3日に開催いたします竹田綜合病院学会を残すばかりとなりました。90年という永い歴史を積み重ねることができましたのも、ひとえに地域の皆様のご支援の賜物であり改めて感謝申し上げます。これからも地域の皆様の期待に応えられるように「信頼されるヘルスケアサービス」の提供に努めて参りますので、ご指導ご鞭撻のほどをよろしくお願いいたします。
 今年平成31年(2019年)は、オリンピックの前年にあたり谷間の年という感がありますが、重要なイベントが予定されている年でもあります。
 4月からは働き方改革関連法案が施行され、時間外勤務時間の上限規制が厳格になります。5月には新天皇が即位され元号が変更になります。7月頃には参議院選挙があり、9月から11月にかけて第9回ラグビーワールドカップが全国12か所で開催されます。さらに10月には大きな政治・経済情勢の変化がなければ消費税が10%に引き上げられる予定です。医療界にとっては「働き方改革」と「消費税率の引き上げ」は大きな課題であります。ここでは「働き方改革」について少し考えてみたいと思います。
 「働き方改革」は単に労働時間短縮だけを目指す概念ではありませんが、社会的に関心が高まったのは、長時間の時間外労働に起因した2つの自殺事件からだと思います。一つ目の事件は平成27年(2015年)のクリスマスの12月25日に、大手広告代理店の女性社員が飛び降り自殺をした事件です。二つ目の事件は翌年平成28年1月に起きました。こちらの当事者は新潟の病院の女性研修医でした。いずれの事件においても、100時間を超える時間外労働が常態化していたとみられ労災認定されています。この2つの事件を受けて「働き方改革」への取り組みが加速したと言えるでしょう。
 一昨年の平成29年3月に「働き方改革実行計画」が閣議決定され、昨年の6月29日に働き方改革関連法案が成立いたしました。これにより今年(2019年)4月からは、原則として時間外労働時間の上限が月45時間かつ年360時間となります。ただし労使の合意がある場合には年720時間を上限とすることが可能です。また医師については医師法の応召義務などの特殊性があることから医師の働き方については2年間の検討を行い、2019年の3月を目途に結論を得た上で、5年後の2024年度から適用することとされました。この方針に基づいて厚生労働省は「医師の働き方改革に関する検討会」を設置して現在検討を重ねているところです。
 医師の働き方については、応召義務や宿直体制、自己研鑽時間と労働時間の切り分けといった固有の問題があります。また救急や産科などの医療をどのように確保するのか、地域や診療科による医師の偏在など単に労働時間の規制だけでは解決できない問題が複雑にからみあっていますので、今年春に予定されている検討会の結論を注視したいと思います。
 「働き方改革」を考える上では、労働時間だけでなく人生100年時代に即して一人ひとりが自分の健康状態や価値観に応じて、生涯にわたって多様な形で仕事をしたり社会貢献できるような社会を構築する視点が重要だと思います。そのような社会を実現するための鍵の一つは健康寿命の延伸です。糖尿病、高血圧といった生活習慣病の悪化を防ぎ、健康状態を維持して元気で活動できる期間を長くするためには、人間の医師ではなくAI(人工知能)ドクターの活用を図るべきだと考えています。現在の技術でも、血圧、血糖値、心電計などのセンサーによるデータを遠隔地から取り込みコンピュータによって解析することは可能です。
 糖尿病や高脂血症の治療薬の薬剤費はそれぞれ年間4000億円から5000億円を占めています。人工透析の患者さんの医療費は年間一人約500万円かかりますが、糖尿病が原因で新規に人工透析を開始する方は年間1万7000人にも達しています。
 ウェアラブルセンサーによって対象者のデータを伝送し、AIがそのデータを常時モニターして異常を感知した時には、医療機関の受診を勧めるようなシステムが実現することを期待しています。そのようなシステムが普及すれば、国民の健康寿命の延伸だけでなく医療費の伸びを抑制し、医師の負担も軽減できるので働き方改革にもつながると思います。

 
    理事長 竹田 秀