患者さんに負担が少なく早い治療が可能

　この度、新しくストルツメディカル社の体外衝撃波結石破砕（以下ESWL）装置、モデュリスSLX−F2が導入されました。10月半ばより治療を開始いたします。
　 ESWLは主に腎結石、尿管結石のような尿路結石の治療に用いられます。以前は尿路結石の治療といえばお腹を切って結石を摘出したり、内視鏡を尿道から挿入して結石をこわしていましたが、最近はESWLが主流となっています。当院でもESWL装置が導入されておりましたが、この度その装置が最新のものになりました。
　 装置の性能も向上し、今までのESWLでは治療できなかった結石についても治療可能になるケースが増えてくると思われます。

新しいESWL装置の特徴

従来の装置に比べ、衝撃波を出す機械が体に接する部分が大きく設計されており、広い角度から衝撃波を発生して結石に当てられるようになります。

新型ＥＳＷＬ

そのため、まず結石をこわす力が強くなります。従来の機械では、ESWLしても1回で完全にこわれることは少なく、2〜3回、大きな結石の場合は10回にも及ぶことがありました。サンゴ状結石という、とても大きくて治療に難渋する結石があります。このような結石は、ESWLでの治療は困難と判断され内視鏡手術で治療することも多くありました。今回の新しい装置になることで、手術しなくてもESWLで最後まで治療できるようになる患者さんが増えると思います。またESWLの治療回数が減ることで患者さんの負担も減り、より多くの患者さんを短期間で治療できるようになると考えております。
尿管結石はとても痛みがつよい病気です。患者さんは少しでも早い治療をすることも多く、新しい装置になることでそのような希望にこたえられるケースが増えるのではないかと考えております。また体表面での衝撃波エネルギーが分散するため痛みの軽減にもつながります。痛みが強い場合、十分な衝撃波を当てることができないため結果的に結石をこわせないことになります。今まで比較的よくみられていた皮下出血や表皮剥離など（体と機械が接する部分の皮が剥けたりする）のトラブルも少なくなります。
また、同じ理由で焦点深度（衝撃波がとどく距離）が深くなり、体の深いところにある結石にも治療できるようになります。具体的には皮下脂肪や内臓脂肪が多く治療が困難であった方でも、治療ができるようになります。
新しい機械では、レントゲンの性能も向上しています。レントゲンは、衝撃波が一番強くあたる場所（焦点）と結石の位置を合わせるときに使います。小さい結石や、レントゲンではっきりと写らない結石などは、位置が合わせられずESWLが行えないことがありましたが、そういった結石についてもレントゲンの性能がよくなることで治療できるようになります。